海であることを忘れた波は何かと同一化したがる

波の同一化とは、波に実態がないからこそ実態があるように見えるものにしがみつく

海であることを忘れた波に実態はありません。海と分離した波という個別な存在が本当はないからです。だからこそこの波を自分自身と決め込む自我は不安でしょうがありません、実態がないものに実態があるかのように騙し続けるのは至難の技です。自我はそのためこの不安感から逃れるために何かしら実態があるとされるものに必死にしがみつくのです。自身をそれと同一視することで実態があるかのように振る舞います。例えば社長というポジション、一家の長というポジション、有名大学卒業というポジション、有名企業所属というポジション、この何かしらは強固に見えれば見えるほどに自我にとっては都合が良いのです。

何かと同一化した自我はその何かしらを手放さない

波という独立していない存在を自身と錯覚する動きこそ自我の動きですが、そもそもが独立していないわけですからこの動きは常に無理があります。そのため自我は何か実態がありそうなものと一つになることで本当にあるかのように錯覚を強めていきます。私は〇〇所属の人間です。とこれで人間という曖昧な存在にアイデンティティーが加算され錯覚が強化されていきます。詐欺師に箔が付いていく感じです。自称コンサルタントと宣ってきた詐欺師が、東京都認定と箔がつくとこの詐欺師の偽りは一層見破れなくなります。これを自我は好んで行います。だからこそ自我は同一化した役職、ポジションを好んでは絶対に手放さないのです。

総理大臣という椅子にどの議員もしがみつくのはその椅子が居心地がいいから

例え総理大臣という役職が命を削るほどに激務であったとしても自我はここにしがみつきます。総理大臣という存在を認めない日本国民はいませんから自我にとってこれほど安泰の同一化先はないのです。自我にとって重要なのは同一化先の強固さ、絶対性ですから総理大臣という役職は涎が出るほど好ましいのです。総理大臣の〇〇さん、この響きは世の中に断固として存在している錯覚を起こしてくれます。これが町内会の〇〇さんでは認知度が低すぎて好ましくないわけです。ということで自我は認知度が高い役職を好んで同一化していきます。

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